流産/死産を経験した妻を支える夫の心得 - 理解とケアの方法

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※最終更新日:2025年4月16

(内容は日々追記・アップデートしています。)

突然の流産・死産は、ママ・パパにとって予期せぬ悲しみをもたらします。

特にママは身体的な痛みと精神的なショックの両方を経験し、深く傷ついていることが非常に多いです。


パパにとっては、どうしてもママの深い悲しみや心の変化に理解が及ばないこともあるかもしれません。

この記事では、ママが流産・死産後に示す感情の変化や行動の理由を説明し、パパとして何ができるのか?の選択肢をお伝えいたします。


「ママにどんな言葉を掛け、どう向き合ったらよいか分からない」「なぜそこまで落ち込むのか理解できない」

「突然冷たくなったママにどう接すればいいのか分からない」という悩みを抱えるパパへ、

ママがどのような想いで喪失後の毎日を過ごしているのかを理解し、一緒に前を向いて歩んでいけるよう、こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。

※ママとの関係性、お人柄に強く影響されるため、あくまでも一つの参考としてお考えください。


調査方法:Instagramのアンケート機能、質問ボックス、DM

調査日:2025年4月9日~11日

回答人数: 335名


※この記事は、たくさんの天使ママ・天使パパが、深い悲しみの中でも、他のママ・パパのためになればと、つらい気持ちをかかえながらもご経験を教えてくださいました。

当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。ご協力いただいたママ・パパのお気持ちを守るためにも、お願いいたします。

★ママが落ち込む理由

■女性にとっての妊娠と流産・死産の意味

女性にとって、お腹に宿った命は、妊娠が分かった瞬間から「わが子」であり、かけがえのない存在です。

医学的には「まだ形になっていない」段階でも、母親としての意識と愛着はすでに芽生えています。

■流産・死産後の深刻な心理状態

厚生労働省の調査によると:

・流産・死産直後は93%の女性が辛さを感じている

・3ヶ月経過後も68%の女性が辛さを感じている

・流産・死産後、65%の女性がうつや不安障害の疑いを持つ状態になる


このような調査結果が出ています。


これは単なる「残念な出来事」ではなく、深刻な喪失体験です。ある女性は「家族全員を何者かに奪われた時の悲しみに匹敵する」と表現しています。

■流産・死産後の深刻な心理状態

身体的な痛みと精神的なショックの両方を経験したママには、流産・死産後、「悲嘆反応(グリーフ)※1」という心理的ストレス反応が起きます。

流産・死産は「非公認のグリーフ」として扱われており、その悲しみや苦しみは他人には理解されにくいものです。

これにより、ママは社会的に孤立し、悲しみを誰にも伝えられないことが多くなります​。この孤独感は、心の傷を癒す上で大きな障害となります。

そして、周囲からの何気ない言葉に傷つき、心を痛めるママも大勢います。


こちらの記事で、「当事者への声の掛け方」について、まとめています。

【流産・死産・新生児死】300名の実体験に基づく当事者にかける言葉


※1 悲嘆反応(グリーフ):大切な人やものを失ったときに感じる悲しみや苦悩、心身に表れるさまざまな反応


悲嘆反応(グリーフ)の症状

1. ママが感じる深い悲しみと喪失感

・流産・死産後、ママは「赤ちゃんに何もしてあげられなかった」「赤ちゃんに会えなかった」という思いから深い喪失感に襲われます。

・お腹に命を宿したという感情的な結びつきは非常に強く、

妊娠が分かった瞬間から流産・死産に至るまでの心の準備や期待が大きいほど、その喪失感は計り知れません。

・特に、流産・死産後に周囲が理解を示さない場合、ママはより一層孤独を感じます​。


2. 自責や罪悪感

・多くの女性は、流産・死産を自分の責任だと感じる傾向にあります。

「あの時のあの行動がいけなかったのか」「自分がもっと気をつけていれば」「早く気付けば救えた命なのかもしれない」

このような自責、罪悪感は、ママの心の中で大きな苦しみを生む原因となります。


3. 身体的および情緒的症状

・流産・死産を経験したママの身体は産後状態のため、身体的に疲れやすく、眠れない夜が続くこともあります。

また、過呼吸や胸部の締めつけ感、食欲不振などの身体的症状が現れるケースもあります。

これらの症状は、流産・死産という心的外傷に起因しており、ママは感情的にも不安定になる傾向があります。

これらは異常な反応ではなく、喪失に対する自然な反応です。

しかし、一般的な死別とは異なり、流産・死産は「目に見える形での別れ」がないため、周囲から理解されにくく、より孤独な悲しみとなりがちです。

夫婦間の心境の違い

■男女の受け止め方の違い

男性と女性ではどうしても妊娠への実感度合いに差が生まれることがあり、それが流産・死産後の心情ギャップにも繋がります。

男性は流産・死産を「残念だったね」と感じることが多い一方、女性は深い喪失感と自責の念に駆られ、思い詰めてしまう傾向があります。

「初めての妊娠で流産したとき、夫はあまり感情を表に出さずどこか他人事のようでした。

2度目の流産を経験したときは、夫も一緒に悲しんでいるようでした。素直な感情を出してくれた夫を見て、夫婦の絆は深まったと感じました。」

こちらは、ママの心境の変化について、実際の体験談です。

■受け止め方の温度差から生じる摩擦

この受け止め方の違いから、以下のような摩擦が生じやすくなります。

パパの体験談として次のようなお話がありました。

「流産後の妻は私に対して冷たくなり、感情的になることが増えました。」

「気持ちを分かろうとしないと言われましたが、私なりに支えようとしていたつもりでした。」

★ママへの理解と接し方

■心のケアの重要性

流産・死産後のママが必要としていることのひとつに「心のケア」があります。


共感と寄り添いを大切に、以下のことを参考にしてみてください。

・ただそばにいること: 黙って抱きしめる、手を握るなど、言葉よりも物理的な存在感で孤独を和らげる

・共に悲しむこと: 「辛いね」「苦しいね」と率直に伝え、一緒に感情を共有する

・話を聴くこと: ママの感情や想いを否定せず、最後まで耳を傾ける

★ママがパパにしてもらって嬉しかったこと、嫌だったこと

赤ちゃんがお空へ旅立つという深い悲しみを経験したとき、パートナーの存在は何よりも大きな支えになります。

実際のママたちの声から、パパの言葉や行動について「嬉しかったこと」と「嫌だったこと」をまとめました。

■パパにしてもらって嬉しかったこと

・お見送りをする時のおくるみを一緒に編んでくれたこと

・産まれてきた赤ちゃんを何度もかわいい、かわいいと言ってくれたこと

・一緒に涙を流してくれたこと

・一番に私(ママ)のことを心配してくれたこと

・一番辛いときに話を聞いてくれて、否定せず受け止め抱きしめてくれたこと

・急に私(ママ)が泣き出したりしても寄り添ってくれたこと

・喪失後に、長めに仕事の休みを取り、一緒にいてくれたこと

・「私(ママ)の気持ちが落ちて辛くなった時は、いつでも連絡してね!私(ママ)がどんな時にどんなことで辛くなっているか知りたい」と言ってくれたこと

・「二人でも楽しく過ごせるよう共通の趣味を始めよう」と提案してくれたこと

・入院中、毎日面会開始から終了まで一緒にいて、葬儀に向けての準備をしてくれたこと

・子どものためにパパがプレゼントを選んでくれたこと

・ふつうのお産の時と一緒で、「頑張ったね、ありがとうね」と言ってくれたこと

・会話の中で自然に赤ちゃんの名前を出してくれること

・私(ママ)が菊の花が苦手だったため、お見送りの時にパステルカラーのお花を買ってきてくれたこと


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■パパの言動で嫌だったこと

・赤ちゃんが亡くなった時には静かに泣いてたけど、その後私(ママ)が泣いていても平気そうに見えたこと(一緒に泣いたり、悲しみを共有したかった)

・気持ちが落ち込んでいる時に前向きに励まされたこと

・12月25日に出産、子どもが産まれたら育休を取得すると言っていたのに、年始から仕事を開始したこと(赤ちゃんがいないことを改めて感じて辛かった)

・義姉が旦那を通して、入院中に会いに行っても良いか?と聞いてきたこと(聞かなくても旦那から、すぐに断ってほしかった)


深い悲しみや辛さを抱えているとき、パートナーの存在は何より大きな支えになります。

同時に、お互いの気持ちや希望を丁寧に確認し、話し合うことも大切です。

心が回復していく過程には「正解」がなく、それぞれのペースがあることを理解し、

時には何も語らず寄り添い、時にはお空の赤ちゃんの話をしたり、夫婦で過ごす時間を大切にすることも必要なのかもしれません。

★回復までの時間と心構え

■回復までの時間を知る

厚生労働省の調査によると:

流産・死産後、1年以上経過しても約32%の女性が辛さを感じている、という調査結果が出ています。

回復には個人差があり、数ヶ月から数年かかるケースもあります。

これらは、単に時間が経てば解決するものではありません。

喪失を経験したママにとって、悲しみが消えてなくなるということはなく、それらの感情は心の中で共存しながら生きています。

■焦らず長い目で見守る

時間をかけて回復することを理解する:

すぐに元気になることを目指すのではなく、長い時間をかけて少しずつ回復していく過程を見守りましょう。


波があることを理解する:

一度元気になったように見えても、特定の日や出来事をきっかけに再び悲しみが強くなることがあります。


自分自身のケアも忘れずに:

パパ自身も悲しみを抱えながらも、感情を抑えて日常生活を過ごしていると思います。

Soramusubiが行ったアンケートでは、54%のパパが、自分自身にも気持ちの崩れがあったとお答えいただきました。

そのうち、第三者のサポート(カウンセリングやピアサポート等)を利用された方はわずか5%に留まりました。


実際に夫婦で市の相談窓口を利用したママより、次のようなお声をいただきました。

「相談窓口でパパの素直な気持ちを聞くことができて良かった。」

「パパは平気そうな顔をしていても、ママには言いにくい気持ちもあるということを知ることができた。」


ひとりで無理に抱え込まず、ママと気持ちを共有したり、地域のピアサポートグループを利用することも選択肢のひとつです。

まとめ - 明日からできること

ママの感情に寄り添う時間を作る:

日常生活や仕事など慌ただしい毎日の中でも、積極的にママと一緒に過ごす時間を作る。


具体的な言葉で共感を示す:

「辛いね」「悲しいね」と具体的な言葉で感情を共有する。


家事や生活面での負担を減らす:

積極的に家事を引き受け、ママの体調を気遣う。


夫婦の時間を大切にする:

外出や娯楽による気分転換や、一緒に過ごすかけがえのない時間も大切です。

抱きしめる、手を握るなど、言葉よりも物理的な存在感でも孤独を和らげることができます。


必要に応じて地域のピアサポートグループや専門家に相談する:

似た経験をした当事者同士の集まりや、必要に応じてカウンセリングなど専門的な支援を検討することも選択肢のひとつです。


流産・死産後、心と身体の回復には時間がかかりますが、パパの存在がきっと大きな心の支えになります。

夫婦がお互いの違いを理解し、絆を深め合いながらともに歩んでいけるよう願っています。

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