■励ますつもりでかけた言葉
・「いつまでも泣いてると成仏できないよ。」
・「前を向かないとお空の子が可哀想だよ。」
・「泣いても帰ってこないよ。」
・「辛い思いをしている人はたくさんいる。」
・「早く笑顔を見せて。」
・「引きずらない方がいいよ。忘れた方がいいよ。」
泣いたり悲しむことを否定される言葉に抵抗を感じるママとパパが多くいました。励ますつもりでかけた言葉であっても、当事者としては「泣くことも許されない」とさらに気持ちを塞ぎ込んでしまいます。
「つらい思いしてるのはあなただけじゃない」という声かけも良く聞きますが、当事者の悲しみの大きさは当事者以外が比較するものではありません。ママとパパのペースを崩してしまうような声かけよりも、「大変だったね。 泣きたい時は泣いても良いんだよ。」と、悲しみを共有したり、そっと側にいてくれるだけで、心を落ち着かせることができます。
励まし方が分からないと感じたときには、正直に「かける言葉が見つからなくてごめんね。」と声を掛けることも選択肢の一つです。
■こうなって良かったという言葉
・もともと胎児疾患が見つかっており、赤ちゃんの心拍が止まったときに「こうなって良かった。」と言われた。
・「まだ流産の範囲でよかった。」(12週未満なので出産ではなく手術だったため)
・「妊娠できるってわかったから良かったじゃない。」
・「双子を育てるのは無理だと思って1人はお空に帰ったんだよ。」
・「双子のうち1人は無事だったから良かったじゃない。」
ママとパパにとって、妊娠週数や疾患の有無に関係なく、たったひとりの大切なわが子です。
励ますつもりであったとしても「こうなって良かった。」という言葉は当事者の心に大きな傷となって残ります。
■さらなる努力を強いる言葉
・「上の子がいるんだから頑張らないと。」
・「(出産前日に)頑張るしかないからね。」
・「神様は乗り越えられない試練は与えない。」
・「まだこんなに落ち込んでると思わなかった。」
これ以上何を頑張ればいいのか…という気持ちが本心です。
「頑張らないと」という表現ではなく、「つらいね、たくさん頑張ったね。」と、肯定してほしかったという声が多かったです。
■上の子に言及する言葉
・「一人いるから良かったね。」
・「一人っ子はかわいそうだよ!」
多くのママとパパにとって、上の子がいてくれて救われたことは確かですが、亡くした命の代わりはありません。お空の子はその子しかいないのに否定されたように感じてしまうことがあります。
■次子について言及する言葉
・「生まれ変わって来てくれるよ。」
・「次は大丈夫だよ。」
・「次があるよ。」(不妊治療でようやく授かれたのに簡単に言われた。)
時間をかけてゆっくりとお空のわが子を想いたいというママとパパもいます。次の妊娠についても望む方が多いものの、また同じことが起こったら…という恐怖や、不妊治療や妊活再開までの待機期間など、様々な理由から踏み出せない方もいます。
「次の妊娠を迎えることが出来ればまた立ち直れる」という考えも当てはまりません。当事者を急かすことなく、「ゆっくりとあなたのペースでね。」という気持ちで見守ってもらえることが、ママ・パパにとって一番の救いになります。
■根拠のない無責任な言葉
・「(流産や死産に対して)よくあることだよ。」
・「まだ若いから大丈夫だよ。」
・「流産したあとは子宮がきれいになって妊娠しやすくなるんだよ。」
・「時間が経てば乗り越えられるよ」(乗り越えることは一生できない。この悲しみとともに生きていく。)
・「その子とは縁がなかったんだね、弱い子だったんだよ。」(当事者の多くは、縁があって来てくれたと思っている。)
・「亡くなった子と同じベッドで寝たらダメ!連れていかれてしまうよ!」
よくあることだと言われても、周りを見わたせば順調に妊娠して子育てをしている人ばかり。
どうしてわたしたちの子が…、どうしてわたしだけ…、とわが子のいない現実に、改めて苦しみを感じることがあります。そもそも、乗り越えるものではなく、お空のわが子と「一緒に生きていく」という気持ちで過ごしているママ・パパが多くいます。
■世代間による考え方のギャップを感じた言葉
・(流産したその日に)「早く水子供養しないとね。」
・(お仏壇にお菓子やおもちゃをお供えしていたら)「そんなに散らかして片付けなさい。」
・「義家族に失礼だから(流産のことを)黙っておきなさい。」
・「まぁ失敗は仕方ないから。」
・(お寺さんから)「今は医療が進歩してるから、もっと小さく生まれても助かる子も多いと思うけど。」
両親・祖父母世代とのギャップに悩むママとパパが多くいらっしゃいます。現代は医療の発達により「健康に産まれてくることが"当たり前でない"時代」から「健康に産まれてくることが"当たり前"の時代」になりました。そして、エコー技術も発達し、「小さな胎芽や胎児に対してわが子として強い愛着を感じる」というママとパパがたくさんいます。
この技術発達による世代間のギャップが、考え方の相違に繋がるひとつの原因といわれています。
従来の考え方やしきたり、慣習が大切であることは間違いありませんが、どうかママとパパの気持ちを尊重して、わが子との大切な時間を過ごせるよう見守ってほしいと願います。
■喪失経験後に違和感を持つ言葉
・「子どもは?」「何人目?」という質問
・「つわりは赤ちゃんが元気な証拠だよ。」(それは違うと身をもって知った。)
結婚したら「子どもは?」、子どもが生まれたら「二人目は?」など、周囲からの避けられない質問に苦しんでいる方も多いです。悪気のない質問であったとしても、なかなか授かれなかったり、原因があって苦しんでいる方はたくさんいます。デリケートな質問であることを理解していただけたらと思います。
■当事者を責める言葉
・「遊びすぎてたから赤ちゃんが亡くなってしまったんじゃない?」
・「赤ちゃんの様子に変化があればすぐに病院行かないとだめだよ。」(自分のせいと言われたように感じた。)
・「元気だから若いと思ってたけど年齢的には高齢出産だからね…」
・「仕事を頑張りすぎたから死産になったのかもね。」
わが子のいのちは自分のいのちに代えてでも守りたかったもの。それを守りきれなかった自分自身を責めています。さらに当事者を責めるような言葉は控えていただけたらと思います。