死産後の復職について

※最終更新日:2025/08/20
(内容は日々追記・アップデートしています。)

死産後の復職について

※最終更新日:2025/08/20
(内容は日々追記・アップデートしています。)

死産という辛い経験をした後、いつかは考えなければならない職場復帰について。

「どのタイミングで復帰、もしく退職を告げればいいのか」「会社にはどう伝えればいいのか」「同僚の反応が不安」など、多くの疑問や不安を抱えているママも多いのではないでしょうか。


今回は、死産を経験されたママたちに回答いただいたアンケート結果をもとに、実体験や職場復帰の仕方をご紹介します。

一人で悩まず、先輩ママたちの経験を参考にしながら、自分にあった復帰の仕方を見つけることができたら幸いです。

 

調査方法:Instagramのアンケート機能、質問ボックス、DM
調査日:2025年7月30日~8月1日
回答人数: 206名

 

復帰をすること、退職をすること、休職をすること、どういった選択をするにしても、正解・不正解はありません。
どうかご自身のお気持ちを優先していただき、無理のない範囲で参考にしていただければ幸いです。

 

※この記事は、たくさんの天使ママ・天使パパが、深い悲しみの中でも、他のママ・パパのためになればと、つらい気持ちをかかえながらもご経験を教えてくださいました。
当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。ご協力いただいたママ・パパのお気持ちを守るためにも、お願いいたします。

目次

★死産後の産休取得状況

★産休後の復職状況

*働き方の変化について

★会社報告の仕方について-実際の経験談

*上司への報告の仕方

*同僚への伝え方

★職場復帰時の注意点と対策

*周囲からの質問への対応

*配慮と孤立感のバランス

*復帰への心構え

*会社制度の活用

★復帰後の働き方の工夫

★まとめ - あなたらしい社会との関り方を

★死産後の産休取得状況

始めに死産後の産休取得状況について、経験者のママたちから取得したアンケート結果を共有します。

 

Q1:喪失後に産休を取得しましたか?

 

・取得した:80%
・取得しなかった※1:14%
・退職した:5%

・その他:1%

約8割のママが産休を取得されており、多くの方が制度を活用して心身の回復に努めていることがわかりました。

死産であっても、妊娠12週以降であれば産休を取得する義務※2があります。体だけでなく心の回復にも十分な時間が必要であることを、多くのママが実感されているようです。

 

※1:取得しなかった方々は主に、フリーランスや個人事業主として働かれているママが該当しました。

※2:妊娠12週以降の死産の場合、産後休業(産休)の取得は労働基準法上で義務となります。

事業主(会社)は、産後8週間は女性労働者を就業させてはならず、本人の希望・申請がなくても自動的に取得させなければなりません。(出産後6週間が過ぎた後、本人が「働きたい」と申し出を行い、医師が問題ないことを認めた場合、就労しても問題ありません。)

★産休後の復職状況

Q2:産休取得後に復職しましたか?

 

・復職した(する予定):66%

・病気休暇などで延長した:14%

・退職した:14%

・その他:6%

産休を取得したママの中でも、復職のタイミングや方法は様々です。

約3分の2のママが復職される一方で、病気休暇を利用してさらに休養期間を延長したり、退職という選択をされた方もいました。

 

また、健康保険に加入している会社員の場合、医師による診断と会社の証明があれば、傷病手当金を申請することができます。

※傷病手当金:健康保険(主に会社員が加入する協会けんぽや健康保険組合)から支給される公的な制度です。国(公的な医療保険)の制度の一部で、会社を通じて加入している健康保険から支給されます。支給額は、給料のおよそ3分の2程度となります。

 

重要なのは、自分の心と身体の状態に正直になることです。

無理をして早く復帰する必要はありません。国や会社の制度を活用し、自分に合ったペースで進むことが大切です。

*働き方の変化について

Q3:喪失をきっかけに働き方を変えましたか?

 

変えた:39%

変えていない:61%

約4割のママが働き方を変更されています。

在宅勤務、時短勤務への切り替えや、雇用形態は変えずに部署異動を希望し、立ち仕事から事務仕事への異動を実現されたママもいました。

 

死産という経験を通じて、自分の心や身体と向き合い、無理のない働き方を選択することは、長期的に働き続けるための賢明な判断と言えると思います。

★会社への報告の仕方 - 実際の経験談

最も多くのママが悩まれるのが、会社や同僚への伝え方です。実際の経験談をもとに、様々な方法をご紹介します。

*上司への報告の仕方

■電話での報告
多くのママが、まずは上司のみに電話で事情を伝えています。

・「検診の予定でお休みを取得した日に死産を宣告されたため、そのまま上司に電話で報告した」

・「心臓が止まっていると分かったその日に上司に電話で報告した」

 

突然の出来事に動揺している中での報告は非常に辛いものですが、まずは必要最低限の人に状況を伝えることで、その後の手続きや対応をスムーズに進めることができます。

 

■メールやLINEでの報告

心を少しでも軽くできるよう、LINEやメールで伝えることも一つの方法です。突然のことで電話だとうまく伝えられないこともあると思います。

・「直属の上司にのみ、LINEで連絡しそのまま産休。産休中に今後について電話で相談し、退職することになった」

・「産後休暇への切り替えなど事務手続きが必要だったため、信頼できる上司にだけメールで連絡した」

 

文字にすることで、自分の気持ちを整理しながら伝えることができ、相手にも状況を理解してもらいやすくなります。

 

■パートナーによる代理報告

当事者でもあり一番の理解者でもあるパートナーに、自身の気持ちを代弁してもらいながら、事情や今後について会社に伝えてもらったママもいました。

・「報告できる精神状態ではなかったので夫が代わりに私の職場へ伝えてくれた」

 

精神的に辛い状況の中で、無理をして自分で伝える必要はありません。信頼できるパートナーに協力してもらうことも選択肢の一つです。

*同僚への伝え方

■上司を通じて事情を伝えてもらう

・「上司にだけ伝えて、上司から同僚に伝えてもらいました」

・「上司へは直接報告。同僚へは入院するまでの数日は報告せず、休職直前に手紙を上司に預けて伝えてもらった」

 

上司が社内の他のメンバーに伝達してくれることで、何度も同じことを説明する負担を軽減できます。また、上司から伝えてもらうことで、より配慮のある伝え方をしてもらえる場合もあります。

 

■手紙を書いて事情を伝える

うまく伝えることが難しい場合は、手紙にするのも一つの方法です。

・「同僚への伝え方について、上司にお手紙を預け、代読してもらった」

・「直接は説明せず、産休明けに品物と簡単な手紙をみんなが集まる休憩室に置いた」

 

休憩室など、みんなが集まる部屋に事情を記載した手紙を置き、直接の説明はせずに理解してもらうよう、工夫されたママもいました。

 

■段階的に伝える

上司など、報告が必須な方にはすぐに伝え、同僚などには自分の心が落ち着いたタイミングで自ら伝えたママもいました。

・「最初は上司にしか伝えず、死産の処置や火葬も全て終わり、職場復帰して自分の気持ちが落ち着いたタイミングで職場の人には伝えた」

 

無理をして一度にすべての人に伝える必要はありません。自分のペースで、段階的に伝えていくことも大切です。

 

■伝える人を選択する

社内手続き上、上司には伝えなければならないが、同僚には聞かれた時のみに伝える。聞かれなければ伝えないという選択をした方もいました。

・「会社には死産してしまいました。と伝えたが同僚たちには聞かれなければあえて言わなかった」

・「ごく一部の信頼できる人にのみ事実を伝え、適切な配慮をお願いした」

 

すべての人に詳細を説明する必要はありません。必要に応じて、伝える範囲を自分で決めることも大切です。

★職場復帰時の注意点と対策

職場復帰は新たなスタートですが、同時に様々な困難も伴います。

周囲の悪気のない思いがけない言動に傷ついたり、心と身体がついていけず、復職後すぐに休職せざるを得ない状況になってしまったママも少なくありません。復帰前に想定される状況を知っておくことで、心の準備をし、適切な対処法を身につけることができます。

*周囲からの質問への対応

・「事情を知らない会社の方からお休みをしていた理由を聞かれ、言葉に詰まってしまった」

・「妊娠を伝えていない人もたくさんいるので、なぜ休んでいたの?と聞かれたらなんと答えようか悩んでいる。答えが出ないまま明日、復帰を迎える」

 

このような状況に備えて、あらかじめ簡潔な回答を準備しておくことをおすすめします。

「療養が必要な状態だった」「家庭の事情で」など、詳細を避けながら状況を説明する定型文を用意しておくと安心です。

*配慮と孤立感のバランス

・「信頼できる方から『配慮として事情は聞いています』と言われた。だからなのか誰一人、私に聞いてくれる人がいなかった。むしろ暗黙の了解なのか一切、妊娠や赤ちゃんのことは口にされず、妊娠していたことが夢だったのかなと悲しくなった」

 

周囲の配慮は有り難い一方で、完全に触れられないことで孤立感を感じる場合もあります。信頼できる同僚がいれば、どの程度まで普通に接してほしいかを事前に伝えておくことも一つの方法です。

*会社制度の活用

・「上司へ報告した後、上司が社内手続きを代理でしてくれたり、病気休暇の存在など、会社の制度を教えてくれた」

・「代理で手続きが可能なものは代理申請してくれた。また、無理にすぐに復帰しなくても病気休暇や病気休職があると教えてもらった。今は病気休職という扱いでお給料も少し貰いながら心身の回復をしている」

 

会社によっては、産休以外にも病気休暇や特別休暇などの制度があります。人事部や上司に相談し、利用できる制度を確認することをおすすめします。これらの制度を活用することで、無理のない復帰スケジュールを組むことができます。

★復帰後の働き方の工夫

復帰を果たしても、すぐに以前と同じように働けるとは限りません。

・「産休後は一度復職して2週間頑張りましたが、仕事に行けなくなり現在は休職しています。仕事ができない状態と医師に診断され、傷病手当金を得ながら1年間休職をする予定です」

 

このように、一度復職を試みても、心身の状態によっては再び休職が必要になる場合もあります。これは決して珍しいことではありません。復職後に無理をして症状が悪化するよりも、専門医の判断のもとで適切な療養期間を確保することが、長期的に見て最善の選択となることもあります。

 

また、上述したように約4割のママが働き方を変更されており、いきなりフルタイムで復帰するのではなく、時短勤務から始めたり、在宅勤務を活用したりする方法もあります。

★まとめ - あなたらしい社会との関り方を

死産後の職場復帰は、一人ひとり異なる経験であり、正解は一つではありません。

 

今回、アンケートにご協力いただいたママたちの経験談を見ても、報告・復帰の仕方や働き方の調整など、様々な選択肢があります。

 

重要なのは、自分の心と身体の状態に正直になり、無理をしないこと。

そして、利用できる制度や周囲のサポートを積極的に活用することだと思います。

 

一人で抱え込まず、パートナーや家族、信頼できる上司や同僚に相談しながら、あなたらしい復帰の方法を見つけていただけますと幸いです。

 

時間はかかるかもしれませんが、きっと自分に合った働き方を見つけることができるはずです。

あなたの経験や気持ちを大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいけますように。

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