流産・死産・新生児死を経験したご家族・友人にできること|親族・友人としての寄り添い方
※最終更新日:2025年5月8日
(内容は日々追記・アップデートしています。)
流産・死産・新生児死などの喪失「ペリネイタルロス」について、メディアで取り上げられる機会が増え、少しずつ、その現実に目を向けてくださる方や、社会へ伝えていく必要性を感じてくださる方が増えてきています。
その背景もあってか、流産・死産・新生児死を経験した大切な人に、「どのように寄り添えばよいか分からない」と問い合わせを受けることが
多くなってきました。
実際に小さないのちとお別れを経験した約300名のママ・パパから寄せられた声をもとに、
友人・家族ができるサポートの実例、言葉の選び方、避けたい行動などを丁寧に紹介していきます。
もちろん、寄り添い方に正解があるわけではありません。
同じ言動であっても、とあるママとパパにとっては救われる言動だったとしても、別のママとパパにとっては深く傷つく言動になる可能性があります。
わが子とお別れすることになった経緯、当事者と周囲の方との関係性、ママ・パパが抱えている悩み…、様々なことが複雑に絡み合う、とても難しい問題です。


★流産、死産、新生児死とは
流産、死産、新生児死を経験されたママ、パパと向き合う前に、
まず流産、死産、新生児死がどのようなものなのか、その定義と基本的な理解を深めてることが重要です。
■流産・死産
流産とは、「医学的」には、妊娠22週未満で妊娠が終了することを指し、妊娠22週以降に妊娠が終了することを「死産」と定義しています。
一方で、「法的定義」では、妊娠12週以降を「死産」としています。(統計集計上「流産」の項目はなし)
このように、前者は医学的定義、後者は法的定義で言葉の定義そもそもに相違があります。

流産、死産の多くは、染色体異常など胎児の発育に関わる問題が原因で起こりますが、原因不明の場合も少なくありません。
■新生児死亡
新生児死亡とは、赤ちゃんの出生後、4週(28日)未満に亡くなることを指します。
新生児死亡の主な原因には、極低出生体重、先天性異常、感染症、分娩時の合併症などがあります。医療技術の進歩により、特に先進国では新生児死亡率は大幅に低下していますが、それでも起こり得る悲しい現実です。
■周産期喪失(Perinatal Loss)の特徴
流産、死産、新生児死亡は、心理的な影響という観点からは共通点も多くあります。
これらは、「ペリネイタル・ロス(周産期喪失)」と呼ぶこともあります。
周産期喪失の特徴として、
見えない喪失:社会的に認識されにくい喪失体験であることが多い
親になる過程の中断:親としてのアイデンティティ形成の途中での喪失
将来の計画や夢の喪失:赤ちゃんとともに描いていた未来の喪失
身体的・心理的な複雑さ:妊娠・出産に伴う身体的変化と喪失の悲しみが同時に起こる
流産・死産・新生児死という経験は、命の長さに関係なく「親になった」ママ・パパにとって、かけがえのないわが子との別れです。
流産だから「喪失は大きくない、大丈夫だろう」と決めつけるのではなく、一人ひとりの体験や感情に寄り添うことが重要です。

★悲しみの過程を知る
赤ちゃんを亡くした悲しみは、一般的には5つの段階を経ることがあります。
ただし、これらの段階は必ずしも順番に進むわけではなく、行き戻りし、波のように訪れることが一般的とされています。
また、悲しみの表現は人それぞれで、感情を表に出す人もいれば、内に秘める人もいます。どの反応も正常であり、「正しい悲しみ方」というものはありません。
ペリネイタル・ロス(周産期喪失)の悲しみには、以下のような特徴があることもご理解いただけると幸いです。
・母親としての自己イメージの喪失
・「なぜ自分が?」という問いかけ
・自責の念や罪悪感
・将来への不安や恐れ
・パートナーとの悲しみ方の違いによる関係の変化
これらの悲しみにより、心や体にも大きな変化をもたらす場合があります。

悲嘆反応(グリーフ):大切な人やものを失ったときに感じる悲しみや苦悩、心身に表れるさまざまな反応

★適切な声かけとコミュニケーション
どんな言葉をかけたらいいか分からない——そう感じるのは当然のことです。
そんなときは、「無理に言葉を探そうとしなくても大丈夫」です。
・そっと手を握る
・一緒に涙を流す
・「悲しいね」と共感する
それだけでも、ママ・パパにとっては大きな支えになります。
あるママはこう語ってくれました。
「言葉が見つからないと泣きながら抱きしめてくれた親友のことを、一生忘れないと思います。」
大切なのは、相手の気持ちを尊重し、解決しようとするのではなく、共に悲しみを分かち合う姿勢です。
赤ちゃんの存在を認め、名前で呼ぶことも喜ばれるかもしれません。
「どんな赤ちゃんだった?」と尋ねることで、親としての気持ちを尊重することができます。
※相手との関係性、お人柄に強く影響されるため、あくまでも一つの参考としてお考えください。
天使のネームプレート(左)。天使のはな結び(右)

★実際に喜ばれた寄り添い方
以下は、実際に天使ママ・パパが「してもらって嬉しかった」と話してくれた寄り添い方です。
・手紙やLINEで「気にかけてるよ」と伝えてくれた
・買い物や家事をさりげなく手伝ってくれた
・火葬の日、そっと付き添ってくれた
・初盆に、お花やお菓子をお供えしてくれた
・母の日・命日など、節目に「思い出してるよ」と声をかけてくれた
・赤ちゃんの名前を呼んでくれた
・写真を見せてと自然に言ってくれた

天使のお洋服
ママ・パパがどんなふうに過ごしたいかは人それぞれ。無理に関わろうとせず、「いつでもそばにいるよ」という姿勢が大切なのだと思います。

★避けるべき言葉
善意からの言葉でも、時に傷つけてしまうことがあります。以下のような言葉は避ける必要があります。
・「また子どもは授かるよ」
・「若いから大丈夫」
・「時間が解決してくれる」
・「赤ちゃんは天国で幸せだよ」
・「きっと何か理由があるはず」
・「まだ会ってなかったから、そんなに辛くないでしょう」
・「もっと大変な人もいるよ」
これらは、悲しみを軽減したいとの想いから掛けた言葉かもしれませんが、実際にはママ、パパを深く傷つけてしまう可能性があります。
何よりつらいのは、「誰にも気持ちを分かってもらえないこと」です。関係性が近いからこそ、そっと気にかけてほしいと思っているママ・パパがたくさんいます。
こちらの記事で「当事者への声の掛け方」についてまとめています。

★親しい間柄だからこそ、できる寄り添い方
「家族」「親友」「義両親」など、親しい存在であるからこそ、悩む場面もあります。
・どう接すればいいか分からない
・踏み込みすぎてしまわないか心配
・自分自身も悲しみで言葉が出ない
そんなときは、「あなたの気持ちを知りたい。何ができるかな?」と素直に聞いてみてください。
答えが返ってこなくても、その姿勢はママ・パパの心にしっかり届いています。

★遠くにいてもできること
距離があって会えない場合でも、心を届ける方法はあります。
・お手紙や小さな贈り物を送る
・名前や生まれた日が刻印されたメモリアル品を贈る
・命日やお誕生日にLINEで思いを伝える
・SNSの投稿にリアクションやコメントを残す
わたしたち、Soramubusiは、”世界で唯一、お空へ旅立った赤ちゃんへの想いを形にするメモリアルショップ”として、
自分なりの子育てができる空間を作る”赤ちゃんのためのおうち”や、
赤ちゃんのお名前、誕生日、命日や体重、身長を刻印できるメモリアル品など、多数のメモリアル品を取りそろえています。
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「離れていても、あなたと赤ちゃんを想ってるよ」。その気持ちは、時間や距離を越えて届くと思います。

★ペリネイタル・ロスは「続くもの」と理解する
赤ちゃんを亡くした悲しみは、数日や数ヶ月では癒えません。むしろ、時間が経つほど孤独感が増すこともあります。
・誕生日
・命日
・母の日・父の日
・お盆・年末年始
そんな節目に、「○○ちゃんのこと、覚えてるよ」と一言でも伝えてもらえるだけで、「忘れられていなかった」と涙するママ・パパも多くいます。
悲しみは決して「終わる」ものではなく、「共に生きていく」もの。
だからこそ、長く、静かに寄り添い続けることが、ママ、パパにとってなによりの心の支えになります。

★最後に
小さな赤ちゃんとのお別れを経験したママ・パパにとって、日常は「赤ちゃんがいない現実」とともに続きます。
その中で、ご家族やご友人が見守ってくれているという安心感が、ほんの少しずつ、心をあたためてくれます。
何か気の利いたことを言う必要はありません。
「大切なあなたを、想ってる。」
その気持ちを、言葉や行動にのせて届けてみてはいかがでしょうか。
きっとその優しさは、ママ・パパの心に寄り添い、小さないのちの記憶を大切に育む支えになります。

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