■腫れ物に触るような扱いを受けた
・喪失経験を話したときに第一声で(聞いたことに対して)「ごめん。」と言われたこと。
・周囲がお空の子のことに触れてこないこと。ちゃんと名前があるのに口にすることもなく、無かったことのようにされること。
周囲の方が声かけに迷うあまり、ママやパパに対して、腫れ物に触るように接してしまったり、お空の子のことに触れないよう気を遣うことがあります。確かにそこにあった小さな”いのち”、痛みや陣痛を経験して出産したわが子。それを無かったことのようにされるのはとても辛いものです。
もしお空の子のお名前が決まっていれば呼んであげたり、「忘れないよ。」と一言伝えるだけでも、当事者の救いになります。お空の子の話題については、素直にうれしいという方が多かったですが、触れられたくないという方もいます。
当事者との関係性上許されるのであれば、「傷つけたくないから、どんなふうに接したらいいか教えてほしい」とあらかじめ聞くことも選択肢のひとつです。
■パートナー間で気持ちの温度差を感じた
・パートナーとの気持ちのすれ違いがあったこと。相手が辛くなさそうに見えること。
・お空の子の話を全くしないこと。手を合わせる姿も見たことがないこと。
主にママからパパに対して、気持ちの温度差を感じるという声が多くありました。
一般的に、ママより先に社会復帰をするパパからは、「奥さんを支えてね」、「早く切り替えて仕事をしよう」
などの職場からの言葉に傷ついたという声も届いています。自身の気持ちとは関係なく仕事が進んでいき、それについていかなければならない環境下で、気持ちを表に出さず、深い傷を負っていることもあります。
「ママだから、パパだから」は関係なく、わが子を想って涙を流すことは、全くおかしなことではありません。今すぐでなくても、自身のタイミングで「夫婦で会話」をすることが大切だという声が多く届きました。
■周囲の妊娠出産で傷ついた
・死産後すぐに友人からの妊娠報告があったこと。(自分とのギャップに胸が張り裂けそう。)
・友人の集まりで、自分だけ赤ちゃんを抱っこしていない事実を突きつけられること。
・(同時期に妊娠していた友人から)子どもに会いに来てほしいと言われたこと。
・友人のSNSに投稿されている安産祈願やマタニティフォトの写真が目に入ること。
・親戚の赤ちゃんの写真がたくさん送られてきたこと。
・姪っ子が誕生したことに「おめでとう」と言えなかったこと。
喪失後の友人関係や親戚付き合いに悩むママとパパも多いです。喪失後は、赤ちゃんや妊婦さんを目にするだけでもつらい精神状態。芸能人の妊娠・出産のニュースが怖くてテレビを付けられなくなった方も。
周囲の方が、喪失の事実を知らない場合は避けようがありませんが、知っている場合は、少しの配慮が当事者にとっては大きな救いとなります。
無理に友人や親戚の集まりに参加させようとせず、「無理しなくていいよ。心を休めてからでいいよ。」とママとパパの心を優先して見守ってほしいと願います。
■行政の連携不足により傷ついた
・市から新生児訪問について電話があったこと。
・保健センターから赤ちゃんの様子を尋ねる電話があったこと。
・コロナ渦の妊婦用マスクが届いたこと。
死産届を出しているのにもかかわらず、役所内での情報共有がされておらず、受ける必要のない傷を受ける方が多くいます。市区町村からこのような電話があった際には、涙を堪えながら必死にわが子が旅立ったことを伝えなければなりません。
このような事態を減らすために、その後、事情をお手紙に書いて市区町村へ郵送したという方も。
とてもエネルギーが必要なことであったと思います。どうか関係各所での情報共有、そして連携を行っていただくことを強く望みます。