死産とは 事前に知っておきたいこと
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※最終更新日:2025年5月21日
(内容は日々追記・アップデートしています。)
死産とは、妊娠22週以降に大切な赤ちゃんとお別れしてしまうことを指します。
死産は誰にでも起こる可能性がある一方で、
経験することを想定していない突然の出来事であり、多くのママ・パパにとって心に深く残る大きな悲しみとなります。
この記事では、死産の定義や原因、手続きなどに関する基本的な情報をまとめました。
少しでも心の準備や安心材料になれば幸いです。
どうか無理のない範囲で、ご自身の心の状態を優先してご覧いただければ幸いです。
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★死産とは何か?医学的・法的な定義の違い
妊娠の喜びから突然に訪れる「死産」。
多くのママ・パパにとって、耳にすることはあっても、どこか遠い世界のことのように感じていたかもしれません。
しかし現実には、妊娠22週以降に赤ちゃんがお空へ旅立ち、出産という形でのお別れを迎えるママ、パパは少なくありません。
妊娠22週未満でのお別れは「流産」とされ、22週以降は「死産」と呼ばれます(医学的定義)。
一方、行政手続きの上では、12週以降のお別れも「死産」にあたり、火葬や届け出などが必要になります。
一口に「死産」と言っても、その定義には医学的・法的な違いがあります。

「日本産科婦人科学会」では、妊娠22週未満を「流産」、妊娠22週以降を「死産」としているのに対し、
「厚生労働省令」では、妊娠12週以降を「死産」としています。(統計集計上「流産」の項目はなし)
このように、前者は医学的定義、後者は法的定義で相違があります。

★死産の主な原因と現実
死産の原因は一つではなく、明確に特定できないことも多いです。代表的な原因としては以下のようなものがあります。
・赤ちゃんの染色体異常や先天異常
・胎盤やへその緒のトラブル(例:常位胎盤早期剥離、臍帯捻転など)
・ママの感染症や持病(高血圧、糖尿病など)
・胎内での発育停止
医学的には「予測できなかった」ケースが多く、決してママ、パパのせいではありません。
どうかご自身を責めずに、必要なときは専門の方の力を借りながら、ゆっくりと心を整えていくことが大切だと感じています。

★死産の現状と統計
厚生労働省の「令和5年(2023年)人口動態統計(確定数)」によると、2023年に日本で届けられた死産数は15,534件でした。
死産は50人に1人は発生すると言われています。
(※死産数:妊娠12週以降にお空へ旅立った赤ちゃんを指す)


★医療機関での対応と知っておきたいこと
死産が確認された場合、医療機関では以下のような対応が行われます。
・分娩方法の決定
多くの場合、自然分娩(経腟分娩)による出産が勧められますが、ママの状況によっては帝王切開が選択されることもあります。
医師と十分に相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
・赤ちゃんとの対面
赤ちゃんと対面するかどうかはママ、パパの希望に沿って決まります。
対面を希望する場合、看護師や助産師がサポートしてくれます。
赤ちゃんを抱っこしたり、写真を撮ったりする時間を持つことで、大切な思い出として心に刻むことができます。
・メモリアルグッズの作成
多くの病院では、赤ちゃんの手形や足形、臍の緒などを残すことができます。
希望があれば医療スタッフに相談してみてはいかがでしょうか。
赤ちゃんとのお別れまでの過ごし方について、こちらの記事で詳しく解説しています。ご参考になれば幸いです。
※この記事は、約300名のママ、パパからの実体験やお声を集め作成しました。

★死産後に必要な行政手続き
死産後には、悲しみの中でも行政手続きを行わなければなりません。
また、調べても正解が出てこないお骨、火葬、納骨、供養などについて、
ママ・パパが深い悲しみを抱えながらもお話ししてくださった内容をまとめました。
こちらの記事より詳細を確認いただけます。是非ご参考になさってください。


★健康保険や出産育児一時金
以下の条件を満たす場合、出産育児一時金の支給対象となります。
・妊娠週数の条件: 妊娠12週以降の死産であること
・健康保険加入の条件: 本人または配偶者が健康保険に加入していること
・手続きの条件: 死産届の提出と、死産証明書(死胎証書)を取得していること
・申請期限: 死産の日から2年以内に申請すること
これらの条件を満たせば、健康保険から一律50万円の出産育児一時金を受け取ることができます。
また、同様に、出産手当金(被保険者本人が受けられる休業補償)の対象となる場合があります。
申請方法や必要書類については、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国民健康保険窓口に確認していただけますと幸いです。

★産休(産前産後休業)について
妊娠4か月(85日)以降に流産・死産したママは、労働基準法で定められた産前産後休業(産休)を取得する権利があります。
会社は、従業員が申請した場合、これを与える法的義務があります。
・産後休業: 出産日の翌日から8週間、就業は禁止(本人が請求し医師が認めた場合は6週間後から就業可能)
・産休中の給与は法律上無給とされていますが、健康保険から出産手当金として休業前の給与の約3分の2(標準報酬日額の67%)が支給されます。申請には医師の証明書が必要となりますので、医療機関で適切な書類を発行してもらいましょう。
これらの権利は法律で保障されているものですが、職場によっては理解不足から適切な対応がなされない場合もあります。
必要に応じて産業医や労働基準監督署、社会保険労務士などに相談することも検討しましょう。
★よくある質問Q&A
Q1:赤ちゃんに名前をつけてもいいですか?
A:もちろんです。呼びなれている胎児ネームを使ったり、後からゆっくり名前を考える方もいます。
Q2:死産でも母子手帳に記録は残せますか?
A:はい、希望すれば赤ちゃんの体重・身長などを書いてもらえます。メモリアルスペースなどに記念として保管する方も多いです。
Q3:火葬後にお骨が残らないこともありますか?
A:在胎週数や火力の条件により、お骨が残らない場合もあります。火葬場を予約する際に、火力調整の相談をすると良いでしょう。
Q4:写真や動画を残すのは不謹慎でしょうか?
A:まったくそんなことはありません。残された写真や動画は、大切な宝物となることが多いです。
すぐに見返すことはできなくても、いつか見たいと思うときまで大切に保管しておいてもかまいません。

★最後に
死産は、身体だけでなく心にも深い傷を残す出来事です。
「知っておけば、違う選択ができたかもしれない」――そう感じる方も少なくありません。
この記事が、誰かの後悔を少しでも減らすことができればと願っています。
どんなに短い時間でも、赤ちゃんが、ママ、パパのもとに来てくれたこと、その奇跡はかけがえのないものです。
どうか、ご自身の気持ちを最優先に。ゆっくりと、心を労ってください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的なカウンセリングや医療アドバイスに代わるものではありません。
深刻な症状がある場合は、医療専門家にご相談ください。

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